近頃、「不登校ビジネス」というワードが話題になっています。
これを書いている私たちも不登校支援団体の一つでありますが、不登校の当事者家庭が運営しているからこそ「不本意に請求される支援」には懸念をしています。
しかし、実際に困り果てて高額のサービスを利用する人達がいたり、自治体と組んで不登校の子ども達にサービスを提供しようとしたり…と
利用したがる人がいるのも事実。
それは一体なぜなのでしょうか。
高額でも頼りたくなる「弱みにつけこむ」サービス
どのビジネスでも、どんな商品でもそうですが、
目標やビジョン、効果や達成率という部分は、言い切ってくれるサービスに人は心強さを覚えます。
「勉強もせず引きこもりがちで、家族だけではもうどうしたらいいかわからない」
「待つべきと言われるが、いつまで待てばいいのか。親も心身ともに限界」
そんな時に、「再登校率◯パーセント!」のように具体的に救いのある言葉を投げかけてくれる存在がいたら、一筋の希望となり、すがりたくなることはおおいにあるでしょう。
どんなに理解のある親でも、元気なく家にこもる子どもがいると、出口の見えないトンネルの中にいるような不安を抱えます。
繊細で話しにくい内容を共有できる相手も少なく、孤独や不安は大きくなります。
「これでキッカケが掴めるなら安い方だ」と
良い塾に入れる、良い学校に入れる、と同じような感覚で契約することはあるでしょう。
それがその家庭にとって本当に良いサービスであれば良いのですが、
問題は、早く親がラクになりたい一心で「子どもの心を無視して進めてしまう」ケースです。
また「再登校を促す」がゴールの場合は、より注意が必要です。
「再登校がゴール」は、本当の解決になるのか
不登校ビジネスと言われるサービスを受けて、再登校ができた、継続して通えるようになった!という声もあれば
「更に引きこもってしまった」「親子の関係が破綻してしまった」…そんな声もSNSでは聞かれます。
子どもが強く再登校を望んでいて、うまくその後押しになるのであれば成功と言えるかもしれません。
しかし、周りの大人の都合で子どもをコントロールしようとする場合、うまくいかないことがあります。一時的に登校できたとしても、長い目で見た結果はわかりません。
「学校に行けるようになること」には、やはり子ども自身に「なぜそうしたいのか」という動機が出てきます。また言語化はできなくとも、必ず「行けなくなった理由」もあるのです。
その大切なメッセージを無視し、蓋をすることで、無かったことにしたいのは一体誰なのでしょうか。
不登校は、当事者や教育者達にとっても複雑で、今や大きな社会問題になっています。
その中でどれだけ「正常に」判断ができるのか、、それは大人側に問われています。
本質的な解決とは何か。「ゴール」を再度、確認する
子どものサポートに迷った時は、家庭の目指すゴールを明確にしたり、子どもの意思を確認してみましょう。
1,子どもが学校へ復帰して、自分らしい進路を確立してもらいたい
2,子どもがいつか自立・自律できるように、自学習する力や生活力を育てたい
おおまかに書きましたが、例えば上記2つのゴール設定だけでも、「今とるべき行動や対応」は変わります。
再登校をしたいと思っているお子さんも多いでしょう。
それが、本質的に必要と思っているのか?それとも偏見から逃れるために追いつきたいと思っているかでも、サポートは変わってきます。
そんな子どもの本音を知るには、日々の親子関係や信頼関係の土台が必要です。
子どもが日々、心から安心して、無理なく日々を過ごせる場所があること。その上でマイペースに学び、悩みや困りごと、嬉しいことなども口にして過ごせていることは大切です。
●●に行けば学べる、合う場所を探す…のも大切かもしれませんが
本来どのような場所でも、子ども自身が学びやすい方法を選んでいけるといいですね。
不登校のサービスを見極めるために
今や沢山の不登校支援団体、居場所、フリースクール等があります。
それは素晴らしいことですが、どんなに良いサービスでも「絶対」はありませんし、正解もありません。細かくサポートをお願いする場は、人が動く時間が増えるため、それなりに高額になることもあります。
気を付けるポイントとしては、
お子さんの気持ちや体調、特性などをふまえて何が一番かを考えてくれる人がいること。またお子さんが心を開ける存在がいること。
ではないかと思います。
お子さんはロボットではありませんので、ギャンブルのような選び方はやめましょう。
逆に「本人がどうしてもやりたい!」ことは、後々うまくいかなかったとしても利用を検討してよいでしょう。(もちろん高額な買い物やサービスは無茶はせず、ご家庭のできる範囲、見守れる範囲で)
本人が決めた学びや選択であれば、うまくいかないことがあっても学びに変えていくことは可能です。