世の中にはいろいろな「○○教育」があるけれど、STEAM教育とは何なのでしょう?STEAM教育がなぜ話題になっているのかまとめました。
プログラミング教育やICT教育とは何がちがう?STEAM教育が分かりにくい理由
「STEAM教育」と検索すると、たくさんの情報が出てきます。
プログラミングをする教育?
プレゼンする力をつける教育?
何を教える教育なのか、よくわかりませんね。
STEAM教育とは、何を学ぶのかというよりも、どのように学ぶのかを教える教育です。
関連する言葉で「ICT教育」「プログラミング教育」といったものがありますが、これは学ぶ内容がはっきりしています。
ICT機器やプログラミングは、STEAM教育を行う中で使われる手段にすぎません。
STEAM教育はどのような学び方を教える教育なのでしょうか。
STEAM教育とはどのような教育なのか?学校の授業との関連は
STEAMは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(人文社会・芸術・デザイン)、Mathematics(数学)の頭文字を取った言葉です。
STEAM教育とは「いろいろな分野にまたがって課題を科学的に探求し、解決する力をつける教育」と言えば伝わりやすいと思います。
STEAM教育は、アメリカから導入されました。
アメリカでは州や学校によってカリキュラムがちがうので、ずいぶん前から理科だけではなく、技術や工業の内容にもまたがって探求する、さまざまな実践が報告されてきました。
STEAM教育もそのひとつです。
世界的に近年の教育界では、これからの時代の課題を解決する力をつけることが求められています。
解決するための知識はひとつの教科に限らないでしょうし、新しい発想が必要になってきますよね。
だから、自分が知っている知識を使い、分からないことは調べ、一人でできなければ協力して課題を解決する力が必要になるのです。
解決したらそれを発表したり、さらに先の課題に取り組んだりするので、プレゼンテーションして伝える力や、新たな価値をつくりだす力を養うことも期待できます。
イメージとしては、短時間の「プロ○ェクトX」を体験する教育といったところでしょうか。
学校でできる具体例をあげるなら、「夏休みの水やりが大変だから、タイマーを使ったプログラミングを考えて、散水機を作ったよ。栽培委員会のみんなで完成させて、学校のみんなに発表したよ。」といったかんじです。
教育に詳しい方なら、「それは総合的な学習と同じですよね」とおっしゃるでしょう。
STEAM教育と、「総合的な学習の時間」の理念はよく似ています。
STEAM教育は、課題を解決するときに実験をしたり科学技術を用いたりするなど、より科学的な手段を使うことに特徴があります。
だから、人的・物的にリソースの少ない学校教育では、やりたくてもできないことが多いですね。
最近は、一人1台端末があり、プログラミング教育のための教材を購入している学校も多いので、以前よりも取り組みやすくなったかもしれません。
なぜ今、世界的にSTEAM教育が注目されているのか
世界的に創造力や協働的に課題に取り組む力などの「21世紀型スキル」をつけていこうという流れがあります。
STEAM教育は、この力をつけることができる教育のスタイルであることから、世界的に実践が広がっているのです。
日本では、経済産業省と文部科学省によって導入されて、はじまったばかりの高校の「総合的な探求の時間」でも取り組むように推進されているところです。
大々的にアピールもされていますし、民間企業を巻き込んだイベントもたくさん開かれているので、いろいろなところで目にするのでしょう。
先進的な取組をする自治体や、企業の強みを生かしたイベントなどもたくさんありますので、情報をチェックしておきたいところです。
<ライター・かなせんせい>
小学校に15年勤務した後に、子どもの病気のサポートのため退職。
教育分野の記事を中心に執筆しています。
専門は理科教育です。