「学びの多様化」という言葉が聞かれるようになり、不登校になった子どもたちの居場所が増えています。
選択肢が増えるのはありがたいことですが、実際にフリースクールや居場所に通えている子どもたちは少ないのが現状です。
子どもたちには、それぞれの「タイプ」や「段階」があり、すぐに切り替えられるわけではありません。
不登校になってからだと本当は遅い、「学びの選択肢」
「学校に行きたくない」と子どもが言う時点で、実はそれまでに様々な葛藤があります。理由は様々です。
いじめなどがあった場合は、休息はもちろん、人に対する恐怖心や不安感をケアする必要があります。
学校のペースや雰囲気、学習方法がフィットしていない場合は、「自分だけがおかしい」と思いがちで
必然的に頑張りすぎてしまったり、周りに合わせて疲れていることも多いでしょう。
本来ならそうなってしまう前に、気づけたり、選べたり、切り替えられたり、助けて…が言える環境が必要ですが(気づいてうまく対応出来るケースもあり、その場合お子さんが元気なまま他の場所を選べると良いでしょう)学校という集団心理が強い環境では、なかなか発見が難しいのが実情です。
限界まで頑張った上での不登校の場合は、その現実をしっかり周りも受け止め、丁寧に子どもを観察していくことが大切です。
「行き場所」はあっても、「行ける場所」がない
いざ、学校以外の居場所を考えたい…となった時でも、地域によっては近くに無いこともあります。
送迎のやりくりや、家庭の経済状況によっては通わせられないことがあります。
フリースクールは平均月に3万円かかると言われており、選択肢に入ってこないご家庭は多いです。
また不登校になると毎日の食事や、学校に行かない分の学びとして親が教材を集めたり、あちこちに連れ出すことも増え、学校以外の費用がそれなりにかかります。
学校の教材も念のため…と買ったり、積立費用を払ったり、いつ戻ってもいいように給食費を払い続るご家庭もあります。
また金銭的な負担はなくても、体験に行った先がなんとなく合わない、今の子どもの状態に合わない(元気のない時に、元気いっぱいの子ども達がいると引け目を感じたりなど)、何気ない一言に引っかかってしまった、、など、繊細な時期だからこそ通うことがハードルになることがあります。
みんなが違う中でコミュニケーションをとっていくスキルはとても大切ですが、それは心身のエネルギーが満たされてからでないと、成長ではなく、マイナスに作用することも。
そんな時期は、急かさず無理をさせないこと、家でしっかり休息することが大切です。
学校がムリなら他の場所へ…の前にやるべき大切なこと
今の子どもの状態を、まずは焦らずゆっくり見てみましょう。
一緒にのんびりする時間を持ちましょう。
そして大人である親自身が、肩の力を抜きましょう。
大人が先走っていないか、子どもの気持ちを置き去りにしていないかが大切です。
子どもは思う以上に、大人の期待に応えようとします。
周りの大人が頑張りすぎていたり、話を誘導したり、結論を急かすことは逆効果。
子どもが考える時間と余裕をつくり、子どもが決めることがとても大切です。
「時間をかけていい」「悩むことは決しておかしいことではない」など、見守る姿勢を伝えましょう。
なお、子どもが何に喜びを得るのか、ストレスを感じやすいのかは知りたいところ。
見守りつつも、特に苦手な部分はないかなど話したり、観察したりしてみましょう。
・グループでいつも遊びたがる
・ゲームは1人プレイが好き
・本(文字)をなかなか読もうとしない
・計算だけひどく苦手そうだ
・行事は楽しめていた(または行事だけ嫌がっていた)
・給食が苦手
・特定のお友達や、先生との悩みがありそうだった…などなど。
お子さんのストレスの傾向が見えると情報収集もしやすくなり、場合によっては専門性のある場へ相談へ行くことや、客観的に多角的に子どもを見ることもできます。
また、お子さんの「好き」「やってみたい」も、これからの最大のヒントになります。
もし学校のこと以外でも要望が出てくるようでしたら「無条件に」それを楽しめる環境を整えてみてください。
第三の居場所もとても大切だからこそ、お子さんをよく知った上で、丁寧に繋いでいきましょう。