「しんどい時は休ませましょう」
「他の選択肢もあるよ、こんな居場所があるよ」
このような情報が多くなってきましたね。不登校が増え続け、「子どもが苦しんでいる」という現状が理解されはじめたことは本当に前進だと感じます。
しかしながら、学校に行かない=全てが解決する!というわけではありません。
休んだらどうする?親は常に一緒にいた方がいい?勉強は?フリースクールや他の学校に行くべき…?など
「行かなくなった先の子どもの保護や、具体策」は、現状はほぼ各家庭次第です。
不登校でも大丈夫だよ…と言い切ってもらえることは救いにはなりますが、実際は0からのスタートとなるため、いざ子どもが不登校になると、親はプレッシャーや不安でいっぱいになります。
不登校支援や、居場所、進学の情報はあくまでも「情報」。選択権は子どもにある。
不登校支援が、自治体でも民間でも沢山出てきています。それらももちろん活用していきたいのですが、
まずは一旦、「情報は、あくまでも情報」と冷静に捉えましょう。
不登校は一人一人状況が違うので、情報は「知識として」「選択肢として」収集していくことは必要ですが、ニーズにマッチするかはお子さんの状態やタイプ次第です。
不登校になったばかりのお子さんは、特に思春期を迎えていたりすると、親と話すことが難しかったり、切り替えが難しいことも多くあります。そのような状況で早期判断することは好ましくありません。親の不安を察知し、期待に沿うため子どもが無理に頑張ってしまうこともあるでしょう。
まずは「お子さんが今どんな状態か」の観察や、他愛もない会話からスタートしましょう。
もし、起きられない、眠れない、勉強どころではない、食欲が湧かないなど生活に支障がある場合には、専門的な判断のできる医師や心理士に繋がっておくことも大切です。
親の安心にためにも、第三者への繋がりをおすすめします。(本人が難しい場合は親だけでも繋がるご家庭は多いです)
※本人に理由をしつこく問い詰めることは逆効果。緊張をほぐす関わり方がよいでしょう。
様々なサービスを効果的に使うためにも、最初は時間をかけての丁寧な関わりや、子どもとの信頼関係の構築が大切です。
具体的に「子どもを観察する」とは?
周りが一番知りたいことは、「子どもが今、どのような状況か」という事実の確認ではないでしょうか。
本人がリラックスして話せる状態が前提ですが、今現在の困りごとや疑問に思ったこと等を一緒にまとめてみてもよいでしょう。
なお、今までのケースでは以下のような原因が多そうです。
●お友達や先生との関係
●感覚過敏や、給食への困難など
●勉強が難しい、または簡単すぎる
●過度なストレスを感じることがあった etc…
困ったとは言わなくても、自覚がないだけということもあります。迷惑をかけることを嫌がったり、支援されることに抵抗のある子もいます。
今の学校自体が全く合わないお子さんもいますし、
学校へ行きたくても感覚過敏や文字の読み書きが苦手など、多くの大人が知らない感覚を持っていることもあります。
原因がわからない、うまく話せない状況のお子さんの場合は、大人が追及しすぎていないか、勘繰ったり期待したり理想を求めすぎていないか…?のチェックも必要です。
「普通はこうだろう」ではなく、「君はどんなことを感じているの?」と、興味関心を持って子どもに接していただきたいのです。
大人の不安やストレスを、子どもで解消しないで!
突然学校に行けなくなったり、勉強が遅れてしまうと、特に親は不安になりますよね。
我が子が元気がないと心配で不安になる。親として当たり前の感情です。
もちろん親と子どもは別の人間なので、同調しすぎたり依存が強まることは避けたいですが、心配なものは心配ですし、むやみにポジティブにふるまったり、大丈夫!と頑張りすぎのは逆にしんどいことです。
しかし、だからといって「子どもを不安解消の道具」にすることも避けたいもの。
子どもは敏感で、親に迷惑をかけたくないと思う子がほとんどです。ですので、なおさら
子どもの行動で一喜一憂したり、子どもに不安を吐露することは避けましょう。
完璧には難しいかもしれませんが、意識するだけで減らす事ができます。
不安な気持ちや愚痴などは、できるだけパートナーや話しやすい人、親の会やカウンセラーなどに沢山吐き出し、子どもにぶつけないよう切り分けてみましょう。
またそんな時ほど、大人も余裕がない時でもあります。思い切って休んだり、今まで曖昧にしていたことを棚卸をするチャンスかもしれません。
のんびり子どもと時間を過ごす中で、「親もいろいろあるんだな」という姿を見せていくことは、お子さんが自分を許す幅を広げてくれるでしょう。
周りに遅れないように、、、ではなく
「周りと違っても君は存在していい」を、言葉や態度で伝えていく
子どもが不登校になると、同年代から遅れてしまうのではないかと焦る親も多いと思います。
けれども一度「普通」と言われるレールを降りた経験や、自分のペースやタイプを知って自律する力を得ることは、長い目で見ると人生にとても役に立ちます。
生きていると上手くいくこと、上手くいかないこと、予想外のことが沢山ありますが、どのような時も親が同じように寄り添ってくれることは、子どもにとって大きな力になるのではないでしょうか。
「周りはこうしているのに」ではなく、今、目の前のお子さんが何を学んでいるのか、何を乗り越えようとしているのか。
いつも誰かが気にしてくれる、声をかけてくれる。。その安心感や喜びは、確実にお子さんの心の栄養となっていくでしょう。