今や高校進学は当たり前の時代となりましたが、高校の不登校も増加しています。
学歴は関係ない時代だよね…と感じる人でも、いざ我が子が高校行かないとなれば
具体例がわからず不安になるのではないでしょうか。
この記事では、あえて「高校に行かない選択」という視点で、いくつかまとめてみたいと思います。
高校生の、理想と現実
高校生とは、大学に進学する子どもの学習継続にはもちろん、多くの子が憧れを抱くのが
いわゆる高校生ライフ=青春の象徴という部分ではないでしょうか。
陽キャ・陰キャという言葉が流行るほど、周りからの評価も気にする年齢です。
だからこそ、夢を抱いていた高校で何かしらつまづいてしまう時は、大きな挫折感となります。
2024年度の子どもの自殺者数が発表されましたが、高校生が一番多くなっています。
大人への移行期であり多感な時期。より孤独を強めやすいかもしれません。
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すべての子どもに高等教育というシステムは本当に必要なのか?
高等教育は大切ではありますが、学び方も多様な時代に、その年齢の全ての子ども達が
学校のシステムに沿って学ぶことが本当に将来のためになるのかは疑問です。
今や有名大学の講義内容も(一部ですが)ネットで安価で観覧できる時代となりましたし、
AIによって学びや情報へリーチする手段は格段に増えていくでしょう。
無意識に周りが行くからうちも行く…という流れで決定する場合、子どもはロボットではないので
どこかで違和感が出てくる可能性はあります。
さまざまな理由で学校へ行くことがつらいお子さんが、周りに追いつくために精神をすり減らしながら
高校の単位を取るためにもがいている状況には疑問が残ります。
義務教育の後は、学ぶタイミングが選べる国
違和感が出てきたときは、視野を広く持ってみるとラクになることがあります。
上に記したとおり日本では必要な時期に「高等教育を活用」できる仕組みがあります。
年齢や仕事に関係なく入学しやすい通信制高校、定時制高校も増えており、高等学校卒業程度認試験(高認試験)からの大学進学も可能です。
途中で進路を変えること、大人になってから学び直す人も多くいます。
入った高校が合わない、タイミングが合わない場合も、退学や編入ができることは
ポジティブに考えると自律的な選択ができるということです。
ただし、日本は集団心理の強い国でもあり、世間一般的なルートから外れる時に強い恐怖を覚えがち。
必要なのは「周りと違ってもマイナスではない」という事実を子ども自身が認識することかもしれません。
まだ世界の狭い子どもがそう思うには大変かもしれず、周りの大人がその認識を持つことも大切です。
進学せずに「働く権利」もある
勉強が苦手、学習が難しいタイプのお子さんでも、スポーツや芸術面が秀でている、
手先が器用など職人気質のタイプはいます。
そういった進路では極めるまでに時間が必要なので、独学で修行をしたり、就職を選ぶお子さんもいます。
中卒で働く未熟さはおおいにあるかもしれませんが、義務教育期間が終われば労働できる年齢であり、
労働は一番イメージしやすい社会勉強でもあります。
大きな学びや喜び、自信につながることもありますし、得意を伸ばすことは脳の発達も促せます。
高学歴ではないと就けない仕事を目指す場合は勉学に励む必要がありますが、
そうではない場合、就労も選択肢になります。現に働きたくて働いている子達はいます。
働いてから本当にやりたいことが分かったり、勉強へのモチベーションが上がるケースも多く、
これは大人の方が実感として持っているのではないでしょうか。
中卒への差別や偏見はまだ転がっていますが、親のプライドや世間の価値観にとらわれない柔軟さを身に付けることも、この苦しい時代に生きる上では必須でしょう。
通信制高校なら行けるかも…という罠には気をつけて
高校では選択肢が増えて進学しやすくなったことは喜ばしいことです。
しかし、選択肢が増えたことからの弊害というものもあるため、ここに書いておきたいと思います。
今人気上昇中の通信制高校は、学力試験や内申点が不要なことがほとんどなので
小中学校と行けなかったお子さんや生活習慣が乱れた子でも意志と資金があれば入学でき、
中学卒業と同時に学ぶチャンスが生まれるシステムです。
しかし全日制高校と違い、自律的にこなすレポートや、
必ずスクーリングに出席するシステムが各学校にあります。
日常生活に支障があったり、精神面の不安定さ、発達特性があるなどサポートが必要なお子さんの場合は、
課題をこなしていけるか・本当にやりたいのかイメージをしながら、
よくよくご家庭でコミュニケーションが取っていけることが前提となるでしょう。
何となく…の進学の場合は無気力になりやすいこともあり、目的を持ってからの入学をおすすめします。
「不登校からの通信制高校進学」の場合、筆者の周りでも高校に馴染んでいく確率は半々となっています。
高校に行かない、という選択肢
もとより「高校へは進まずに自学習する」と決めるお子さんもいます。
しっかり自分の感覚を持っていたり、ご家庭で学習の選択肢を知っていることが多いです。
・自学習、塾の利用などで高校卒業認定試験を受ける(その後大学を目指すも◎)
・海外留学する
・アルバイトで稼ぎながら勉強したり、やりたいことに没頭する
・アルバイト先でそのまま社員を目指す など
その子に合った道は様々です。
高校に入ってみたけれどやっぱり違った!という場合に、
その違和感が口に出せる親子関係をキープしておくこと、いくつかの選択肢を持っておくことは
つまずいた時にその先にも繋がりやすいです。
渦中は辛いことも多いかもしれませんが、子どもが悩んで決める過程にも生きる上での学び(メンタルの調整やペース配分、差別偏見への気付きなど)は多く含まれます。
また子どもの試練に伴走することは、親子ともに関係性を深めるチャンスでもあります。
逆に親元にいてくれるうちは、失敗したり間違っても受け止められますね。
「すごい学歴」があっても、先は誰にもわからない
高学歴の方が引きこもったり、社会での傷つき体験で精神疾患になる方が後を絶ちません。
逆にいい学校、いい学歴、いい職歴がなくても、誇らしく生きる人はいます。
正解はありませんし、その道がよいかどうかは結局「その人に合っているか」しかありません。
子どもが学校にとらわれる時期や、悩む時期も人によっては長く、SNSでのイメージ戦略に取り込まれたり
大人に余裕がないことから支援がしにくい時代背景も確かにありますが
もし高校生活で苦しんでいるお子さんがいたら、「高校ぐらい卒業してほしい」の条件付き愛情を一旦横においてみてほしいと思います。
落ち着いて試行錯誤することで、見えてくるものは必ずあります。
ライター:コーディネーションラボ
「不登校を科学する」https://note.com/kankyo_coodinate