練習しているのになかなか漢字を覚えることができないお子さんや、数の大きさがイメージできないお子さんがいらっしゃいます。
知的に問題なく日常生活でも困ることは特にないのに、勉強の「ある分野」になると急に分からなくなってしまうのです。
頑張ってもできないことは、とてもつらいことですよね。
周りの大人が学習障害(LD)について知ることで、本人が「勉強が嫌い」「自分はできない」と思い込むのをふせいであげられるかもしれません。
1.学習障害(LD)とは
知的な遅れはありませんが、聞く、離す、読む、書く、計算するまたは推論する能力を習得したり使用したりするときに著しい困難を示す状態のことを指します。幼児期には気付かれにくく、小学校に入って国語や算数の学習が始まったときにつまずき、学習障害があることが分かることが多いです。周りが気付くことがなければ、ただ「勉強が苦手な子」と見なされ、特別な支援をされることはありません。支援されればできるようになるはずのこともできないままだったり、自尊感情が低くなったりすることもあります。
日本LD学会によると、教育現場や医学領域の知見をもとに、以下のものが学習障害(限局性学習障害)として分類されています。具体的にどのようなお子さんがあてはまるのか、それぞれ例を紹介します。
- 読字障害
- 書字表出障害
- 算数障害
※この中のうち複数の症状を示す場合もある。
2. 学習障害(LD)の種類と子どもの様子
(1)読字障害
文字の読み間違いが多かったり、ゆっくりでないと読めなかったりするものです。小学校に入って教科書を音読する宿題が出たときに、練習してもなかなか読めるようにならないお子さんがいらっしゃいます。言葉のまとまりで発音するのではなく、ひらがなを1文字ずつ拾い読みしていることもあります。
文章を声に出して読むことができるのに意味が理解できていない場合、これも読字障害に該当します。言葉が示すものがイメージできないのです。音読したときに、文章をおかしなところで区切って読んでいたり、イントネーションが違ったりする場合、文字から意味を捉えていない可能性があります。
(3)書字障害
何度練習しても字を覚えることができなかったり、字形がくずれてしまったりする子がいます。漢字の「へん」と「つくり」を逆に書く、線が足りなかったり多かったりする、マスの中におさまらなかったりするなど、子どもによって特徴がちがいます。
字は書けるけれど、自分が思っていることを文章で書くことが難しいお子さんも書字障害に含まれます。これにあてはまるお子さんは、楽しかったできごとや授業中にひらめいたことを生き生きと話してくれますが、ノートに書くとなると鉛筆が止まってしまいます。ふつう「話し言葉」と「書き言葉」には相関性があり、お話が得意な子は作文も得意です。思ったことを話すことはできるのに作文が書けないお子さんは、もしかしたら書くことに困難をかかえているのかもしれません。
(4)算数障害
数の概念が身につきにくかったり、数学的な考え方ができなかったりするものです。
小さな子にとって、数と数字は別のものです。「あめが3個ある」「車が3台ある」ことは、子どもにとっては全く違う意味のことなのですが、どちらも「3」という数字で数を表します。これは小学校の算数ではじめに学習する内容です。数字を見比べて、どちらが大きな数か正しく答えられないお子さんの中は、数と数字の関係が理解できていないことが多いようです。指をつかって計算している子の中には、これに当てはまる子がいると指摘されています。(ちなみに数が苦手な子が指を使うのはよいことなのでやめさせないほうがよいです。)
文章を読むことはできるのに、算数の問題になるとイメージができなくなる子も算数障害に含まれます。特に時間や割合の学習で、問題で問われていることが理解できなかったり、式を立てられなかったりするようです。現場で教えている感覚では、これらが苦手な子は線分図などの図の意味をつかむのも難しそうにしています。
時間の学習は低学年で学習するのですが、そもそも苦手な子が多い単元です。割合の学習は高学年で出てきますが、これも抽象的でそもそも難易度が高いものです。
多くの子が苦手とする単元の中で、個別に時間をかけて教えても理解が進まない場合は算数障害を疑うこともできるかもしれません。しかしそれを集団の中で見抜くのはかなり難しいことです。
3. 学習障害(LD)の子どもへのサポート
ひと昔前でしたら「勉強が苦手な子」で見逃されてきた学習障害も、教育現場で広く認知された結果、サポートが受けやすくなってきました。
学校の特別支援担当の教員や相談機関に行けば、特性に応じた様々な学習方法を教えてもらうことができます。
「コグトレ」や認知の特性に応じた漢字練習プリントなど、簡単に入手できて宿題に代えられるものも増えています。
しかし、いろいろな方法を教えてもらっても、それを実施するのは主に家庭となります。
通級指導教室に入ることができればそこで指導してもらえるかもしれませんが、週に1度よりも毎日のサポートの積み重ねによって子どもの力は伸ばすことができるからです。
療育並みの取り組みをしているご家庭もありますが、ほとんどの家庭では難しいですよね。
民間の個別教室もまだ一般的ではありません。
学習障害が疑われるお子さんは、日々学校で大変な思いをしています。
負担を軽くしてあげるためにまずしてあげられることは、担任に配慮をしてもらうことです。
家の学習の様子や子どもの困っていることを伝え、できることを一緒に考えてもらうことでサポートが受けられます。
子どもは家の姿と学校の姿が違いますので、たくさんの人の目で見ながら配慮を考えていきたいですね。
***まとめ***
学習障害(LD)も発達障害と同様、子どもの数だけ特性があります。
学習が苦手だからといって、すべての子が学習障害とも限りません。
手先の器用さや見え方・聞こえ方などの体の機能的な障害にも、学習障害に見えるような影響を与えるものがあるからです。
一方で、指で計算する子のように自分で困り感をとりのぞいているうちは、学習障害として特別な配慮をする必要もないかもしれません。
そもそも学習は新しいことができるようになることなので、みんな少なからず負担を感じるものです。
その負担が大きすぎないか、周りが気をつけてみてあげたいですね。
