振り返り/ スペシャルニーズとは?

前回の記事では、スペシャルニーズという言葉についてご紹介しましたね。障がいを持ち、特別な支援を必要とする人々のことを指すものであると記載しました。前回は日本と比較しながら、海外での手厚い支援について簡単にご紹介しましたが、もっと具体的に知ってみませんか?
誰が、どこで、どんな手順で関わるのか。実際の支援の内容はどんなものなのか。記事を読むことでこれらを知ることができ、さまざまな場所で支援を導入する際に役立てられます。まだ日本ではあまり知られていない情報。一足早くリサーチしてみましょう。
スペシャルニーズの学習支援が目指すもの
子供たちに向けた支援は、主に教育の場で行われます。じゃあ、その支援は最終的に何を目的にしているの?という質問にお答えしましょう。結論から言うと、「普通学級の子供たちと同じ生活が送れるようにする」のが目標です。特別支援学級などでクラスや学校が分けられがちな日本人からすると、少し意外なのではないでしょうか?
この平等の考え方は、意外と海外では主流なんです。「インクルーシブ教育」と言う言葉を聞いたことはあるでしょうか?障がいを持つ子供も、できるだけ他の仲間達と同じ環境で勉強できるように…。そんな教育方針に基づき、イギリスでは障がいを持つ子供に対し、普通学級内での勉強をサポートするんです。
またアメリカやカナダ等でも、普通学級と特別支援学級を分けることはあまり強く推奨されていません。仲間と同じ環境にいるためのサポートが考えられているのです。
では次の項で、実際に行われている支援内容と、その組み立て方についてみていきましょう。
もっと詳しく!IEPって?
前回の記事でも軽くご紹介しましたが、おさらいです。IEP(Indivisualized Education Program)日本語で「個別教育プログラム」を覚えているでしょうか?そうです、アメリカで主に行われている、スペシャルニーズ対象の特別支援制度ですね。この支援も先ほど掲げた目標のもと、個々に必要なサポートを行うことで平等な教育の場の提供を実現させているんです。
IEPを行う上で、まずは支援チームが組まれます。チーム構成は子供の保護者、教師、専門家などです。このチームで最初に行われるのは、ミーティング。子供の障がいの状態を保護者が情報提供し、必要な補助について話し合います。生徒本人は参加が強制されていませんが、本人の成績なども支援の判断材料となるため、重要な存在です。
ミーティングをもとに、支援体制、すなわちその生徒のためのIEPが組まれます。これに基づき、学校側は支援を徹底していくというわけです。もちろん人間は不変ではありませんから、見直しも必要ですよね。だからミーティングは年に一度行われて、その都度支援が適切かを確認しているんです。
もちろん支援には、IEPチームなどの身近な人の協力だけではなく、ツールや専門機関の支援が必要不可欠です。以下の2項では、支援に関わるツールと人材について、それぞれみていきましょう。
障壁を取り除くアイテム
障がいを持つ人のためのアイテムといえば、何が思いつくでしょうか。車椅子、補聴器、歩行器..どれも、よく目にするものですね。もちろんこれらも必要ですが、教育の現場でもっと手軽に、もっと安価に手が届くツールがあるんです。
それは、通信技術を生かしたツールです。これは、いろんな障がいに対応できるんですよ。例えば、体を動かしにくい子のために、手元ですぐに学びが得られる映像授業を提供することができます。家からのオンライン相談ももちろん可能です。また、耳が聞こえない子のためには文字起こしツールがあればとても便利ですよね。そして目の見えない子には、音声付き教科書の存在も非常に大きいでしょう。
余談ですが、この通信技術の発達が「家庭学習」という新しい試みにも影響を与えているんですよ。この制度に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。(リンク)
Zoom、GoogleChrome、Goodnotes…日本でも主流な新しいソフトの機能が、どんどん支援の幅を広げています。便利なツールが、すぐに手に入る時代。だからこそ、少し想像を働かせることで、誰でも適切な支援に手が届く可能性を秘めているんです。
支援は誰が?教育支援の人材について
前項でツールについてお話ししましたが、今度は支援に関わる人材についてお話しします。
IEPの部分でお話しした通り、IEPは学校教育の場で実践される支援ですから、学校教員が主に行います。オーストラリアなどでは、教員向けワークショップを通して障がい支援を学んだり、特別養成があったりと、普通学級の教員も支援制度に対応できるようになってきているんですよ。
教員の他、専門家も支援に関わっています。例えば、通常の生活に困難のある発達障害の子供に対しては、言語療法士がついたり、時には若いユースワーカーが支援に関わったりもします。また、医療分野だけではありません。例えば応用行動分析の専門家も、自閉症などの子供たちの援助を行うことができます。身体障害の子供たちは、それぞれ障がいのある部位に対する医師などがサポートにつきます。
このように、日常的につきっきりでなくても、データのやり取りや定期的な検診を通し、子供たちが安心できる状態で学習できるように手厚いバックがついています。
まとめ
いかがでしたか?前回の記事に続き、スペシャルニーズにおける詳細な支援形態についてお話ししてきました。ありそうでない、個別支援。日本で聞いたことはなくても、案外難しくないということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
人と、資金と、ツールによって作られる個別支援。支援をする人の力と新しい技術やアイデアがあれば、個人に最適な学習支援システムが誕生します。それは、スペシャルニーズに対してだけではありません。あらゆる状況下にある子供達に、その場面に合わせた個別学習指導が行えると思います。制度化されなくても、これが身近に実現できると素敵ですよね。
