不登校の「その後」を心配するとき、話はたいてい「どの高校・大学に入れるか」に向かいます。でも、その後を測る物差しは、進学先の一点だけではありません。何を学び、何をやってきたか——積み上がった学習歴のほうに、少しずつ重心が移ってきています。
実績そのものが見られるようになってきた
学校の成績とは別に、実際にやったことが評価される場面が増えています。仕事に直結する経験、小さくても起業した事実、コンテストでの入賞、作った制作物。こうした実績は、進学や就職の場面で、学校名とは別の軸として見られるようになってきました。学びの証明が、テストの点だけでなく「できること・作ったもの」に広がってきたのと同じ流れです。
だとすれば、「その後」を進路の一発勝負として身構える必要は、以前より薄くなっています。
制度は「乗る」ものではなく「使う」もの
同時に、既存の制度を組み合わせて使う視点が効いてきます。順番に見ていきます。
高卒認定試験(高認)は、高校を卒業していない人が、高校卒業と同等以上の学力を認定してもらう試験です。16歳以上なら受けられて、合格すると大学・短大・専門学校の受験資格が得られます。就職や資格試験にも使えて、履歴書には「高等学校卒業程度認定試験合格」と書けます。最終学歴が「高卒」になるわけではない点は割り切りが要りますが、次のドアを開ける鍵としては十分に機能します。8科目を一度に取る必要はなく、受かった科目は次回以降まで持ち越せる——つまり積み上げ式です。実際、合格者のうち高校中退の人が半数を超え、年齢の幅も10代から70代までと広い。標準ルート以外の人が、現に使っている制度です。
大学に「入学せずに」単位を取る道もあります。科目等履修生は、1科目から履修してレポートや試験に合格すると、正規の単位がもらえる仕組みです。特修生は、大学入学資格のない人が指定科目を16単位ほど修得すると、その大学の正科生1年次に進める制度です。ここで取った単位は、正科生として入学したあとの卒業単位に算入されることが多いです(大学によって扱いが違うので、そこは要確認です)。
そして、積み上げた単位を学位に変える出口が、大学改革支援・学位授与機構です。短大や高専の卒業者などが、必要な単位を集めて申請し、審査に通れば学士の学位が授与されます。4年間フルで通わなくても、単位を継いでいけば学位を「作れる」ということです。
点を、線につなぐ
大事なのは、一つひとつの認定をゴールではなく次の鍵として見ることです。高認で受験資格を作り、科目等履修で単位を貯め、その単位を学位授与機構で学士に変える。ある資格が、別の何かの受験資格になる。バラバラに見える点を、順番に線でつないでいく。この「つなぎ方」を知っているかどうかで、選べる進路の幅はかなり変わってきます。
体調不良や、家庭の環境などで「続ける」ことが難しい場面もあります。しかし、「つなげる」方法があるということは未来に向けて目標を持つことにも繋がります。
その後は、一度で決めるものではない
こうして見ると、「その後」は、どこか一校に受かるかどうかの一発勝負ではありません。使える制度と、積み上げた実績を、順に継いでいく設計の問題です。学校の連続性からいったん外れても、学習歴のほうは本人の側で編み直せます。進路という一点ではなく、線として見れば、道は一本ではなくなります。
もちろん、口で言うほど簡単ではありません。制度は大学ごとに条件が細かく違い、単位がどう認定されるかも一つずつ確かめる必要があります。体調や生活の都合で、思ったように進まない時期もあります。それでも、全部をいっぺんに設計しなくてかまいません。線の全体像が見えていなくても、手前の一点——たとえば高認の1科目、科目等履修の1コマ——から始めることはできます。取った点は消えずに残り、あとから線につなげられます。まず一点を置くところからでも、その後は動きはじめます。
始めなければ、つながりませんが、始めれば、その点はあとで何かにつながります。
